色覚特性の主なタイプ
1型色覚(赤に敏感な細胞の異常):赤や緑の区別がつきにくく、赤が黒っぽく、緑が茶色っぽく見えることがあります。
2型色覚(緑に敏感な細胞の異常):1型と同様に赤や緑の区別がつきにくい特性があります。
3型色覚(青に敏感な細胞の異常):黄色と青紫などの区別がつきにくいタイプですが、非常に少ないケースです。
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AIから分かる一般認識の間違い
2型色覚を例にします。
一般色覚の人が見る「赤」と「緑」は、2型色覚の人にはどちらも「黄色〜茶色のバリエーション」として見えています。
2型色覚の人は、赤を感じる細胞(L錐体)と青を感じる細胞(S錐体)の2つで色を構成します。緑と赤の光が目に入ったとき、どちらも「赤の細胞」だけが強く刺激されます。脳はこれを緑か赤か判断できず、その中間にある「黄色」や「茶色」系の色として処理するためです。
2型色覚の人にとって、赤と緑は「全く異なる2つの色」ではなく、「同じ黄色〜茶色グループの中の、少しだけ明るさや鮮やかさが違う同系色」という感覚で認識されています。
「白黒写真」のカラー版(青と黄の2色だけ)まず、完全に色がなくなる「白黒(モノクロ)写真」を思い出してください。
白黒写真では、赤も緑も青も、すべて「白から黒へのグラデーション(明暗)」だけで表現されますよね。
2型色覚の人の見え方は、その白黒写真に「青」と「黄」の2つの絵の具だけを塗った世界です。
空や海は、きれいな青のグラデーション。それ以外の地面、木、花、建物などは、すべて黄〜茶色のグラデーション。
トマトの苗をイメージしてみる
一般色覚の人が「緑の葉っぱ」の中に「赤いトマト」があるのを見ると、「色の種類(赤と緑)が全く違う」ので、一瞬で見分けがつきます。
2型色覚の人の目には、これが以下のように映っています。
全体が「黄色っぽいグラデーション」の塊に見える。
葉っぱは「明るい黄色」。トマトは「くすんだ濃い黄(茶色っぽさが入った黄)」。
つまり、赤と緑という別の色があるのではなく、「黄色」という一つの色の中で、濃淡や明るさだけが少し違う状態です。
一般の人からすると、「レモン(明るい黄)」と「バナナ(普通の黄)」が並んでいるのを見分けるような感覚に近いです。
「どっちも黄色だけど、よく見れば色の濃さが違うな」という具合に、じっくり見ないと区別がつきません。
これは間違いです。
まず、2型色覚の場合、赤の細胞は正常に機能しているので「赤色」を認識出来る範囲は広いと考えて問題ありません。全ての赤色が茶色に変換されることはありません。
「一般的な見え方(一般色覚)の人と同じくらいの明るさで、赤が見えている」ということです。
この点に関してはAIも理解しています。
では「何が間違っているのか」、脳が赤色を茶色として処理するのではありません。表現が正しいかは分かりませんが、ニュアンスとしては
「一部の赤色(暗い赤、彩度の低い赤など)が緑色に引っ張られる」ので引っ張られた赤色の範囲は正しく認識出来ない。
どういう事かと言うと、緑色の認識出来る範囲が狭いので認識出来ない範囲は赤の細胞が補完しますが、緑を補完する範囲で赤と緑を誤認しやすくなります。分かりやすく言えば脳が赤と緑が同じ色だと「錯覚」を起こします。この場合、必ずしも茶色に見える訳ではありません。誤認する範囲の赤が緑に感じたり、逆に緑が赤に感じたりします。さらに、照明や色を反射する材質や周囲の環境や体調によって誤認(錯覚)する範囲が変わります。
そもそも「緑」は認識出来ないのか、そうではありません。2型3色覚(緑色弱)、2型2色覚(緑色盲)のいずれも認識出来る範囲は違いますが「緑」は認識出来ます。完全に緑が認識出来ない可能性は極僅かと言って良いでしょう。
大きく分けると、広範囲で認識できる「赤」と狭い範囲で認識できる「緑」と、赤と緑を誤認(錯覚)しやすい範囲の3つです。ここで、中間の「茶色」になるのは「赤と緑を誤認(錯覚)しやすい範囲」の中で、「緑を赤」または「赤を緑」と錯覚しなかったその他の赤系色と緑系色のみです。つまり、鮮やかな赤は鮮やかな赤として捉え、鮮やかな緑は鮮やかな緑として捉えます。
「脳が茶色に変換するのか」は、いいえです。あくまでも特定の範囲で「誤認」する(錯覚を起こす)だけです。その理由は単純です。特定の範囲では緑を感じるために「緑を感じる細胞」と同時に「赤を感じる細胞」も使うからです。
人間の脳はオレンジ色の照明下でも白い紙を白と認識します。狭い範囲でしか認識出来ない「緑」でも脳は「範囲外の緑を範囲内の緑に寄せる」のです。これを補正と言います。
ただし、脳が補正を掛けるには条件があります。周囲の比較対象や光源、材質、距離などから間接的に「緑」と認識出来る場合です。
文章だけでは分かりづらいので、下の図で説明します。下のグラフは赤(または緑)の認識出来る範囲と認識出来ない範囲をイメージしたものです。代表的なものとして、縦軸を明るさ、横軸を彩度とした場合、右上が認識出来る範囲、左下が誤認しやすい範囲になります。縦軸横軸を距離や周囲の色や他の色との比率に置き換える事も出来ます。

赤と緑のグラデーション

個人差はありますが、黒い線で囲った部分が誤認しやすい範囲です。

誤認しやすい範囲を黒で塗り潰して、残った範囲が認識できる部分です。

上の図の認識できる部分だけを抽出。これが明るさの違う茶色に見える事はありません。赤は赤、緑は緑です。

上記の事から、赤いトマトが茶色に見えることはありません。同様に緑の葉は緑色として認識します。


誤認しやすい条件
暗い場所、暗い色や彩度が低い色の他に、曖昧な色、着色した半透明ガラス、平坦な印刷物、遠景、サイズが小さい物、メリハリの有る比較対象が無い場合など一般的にも見えづらい物が誤認しやすくなります。また脳が錯覚を起こすかどうかは疲労など体調の影響も少なくありません。
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– 追記 -2型色覚の「錯覚」について
- ①緑を感じる細胞の検知力が弱い。
- ②正常な赤を感じる細胞が緑の検知を補う。
- ③誤認しやすい曖昧な範囲の色では、強い赤の情報(信号)と弱い緑の情報(信号)が同時に届くため、脳が緑を「この状況(明るさ、被写体の材質、輝度、反射率など)なら赤」と勘違いして補正を掛ける場合がある。
つまり脳が緑を赤と錯覚して赤に見える。逆側に補正が掛かると赤が緑に見える。通常、脳は赤も緑もそれぞれ認識しています。状況に応じて「補正」も出来ますが、錯覚は「脳の補正機能」が間違うことで起こります。
一般色覚の人でも、同じ色が周囲の色によって違って見える現象「色の対比(色彩対比)」は知られています。これは、人間の目が周囲の色との差を強調して知覚しようとするために起こる錯覚です。一般的な色の対比には、明度対比/色相対比/彩度対比があります。
2型色覚の場合、赤の細胞(赤のセンサー)と緑の細胞(緑のセンサー)が同時に働くので脳が色相対比のように錯覚を起こして色を間違うと考えればイメージしやすいと思います。その事に当事者も周囲も気づきません。本人は(緑が)赤に見えているので赤と認識しています。周囲は緑が赤に見えている事を知りません。通常、ごく一般的な知識からすれば双方共に曖昧な色は茶色に見えると思っているので、錯覚が起こることすら想像していません。
気づかないもう一つの理由は、植物が「緑 → 赤 → 茶色(褐色)」へと色を変えるためです。
- 自然界には、熟すと実が赤くなる植物(唐辛子、トマト、ほうずきなど)は沢山有ります。それら多くの植物の果実や葉は、成長する前の若い時期に葉緑素(クロロフィル)を多く含んでいるため、緑色をしています。
- 果実が熟したり(カロテノイド類のリコピンやカプサンチンという赤色の色素が表面に現れます。)、秋に葉が紅葉(もみじなどの紅葉(糖分と日光が反応して、アントシアニンという赤色の色素が新しく体内で作られます。)したりすると、緑色から赤色へと変化します。
- 時間の経過と共に細胞が死ぬと、植物の細胞内に含まれていたタンニン(ポリフェノールの一種)という成分が染み出し、空気中の酸素に触れて酸化して茶色(褐色)になります。皮をむいたリンゴを放置すると茶色くなるのと同じ現象です。
このように自然が変化する場面では、その一部を錯覚しても問題にならないケースが多々有ります。
本人も周囲も誰も錯覚している事に気が付かないなら問題ないのでは?という訳には行きません。識別が重要な場面では、錯覚は「全てが茶色(識別しづらい)」より問題です。
対処方法
- ①当事者本人が錯覚する可能性が有ることを知っておく。
- ②周囲が2型色覚は錯覚する可能性があることを理解する。
- ③錯覚(誤認)しやすい環境(機械やソフトウェアなど)を改善する。